2026年エデルマントラストバロメーターの調査では、信頼のあり方に変化が生じていることが明らかになりました。グローバル全体では、回答者の70%が自分と異なる価値観や経歴、社会課題へのアプローチを持つ相手を信頼することに消極的、あるいはためらいを感じていると回答しています。日本ではこの傾向がより顕著で、89%が閉鎖的な信頼意識を示しています。

Retreat Into Insularity

この変化は、2025年に確認された「不満と憤り」の延長線上にあります。2026年に日本では65%が中程度から高度の不満と憤りを抱えており、「社会の仕組みが不公平で、一部の人々の利益を優先している」という認識が広がっていました。こうした意識があるとともに、信頼はより条件付きのものへと変化しています。価値観の一致が信頼の前提となる傾向が強まり、その結果、社会の分断が固定化するリスクが高まっています

閉鎖性の進行の背景には、経済的不安、将来に対する悲観的な見通し、そして情報環境の分断があります。日本では、次世代の生活が現在よりも良くなると考える人は14%にとどまっています。また、雇用不安は過去最高水準に達しており、52%が景気後退による失業を懸念し、50%が国際貿易や関税摩擦が自社に悪影響を及ぼすと考えています。

日本における信頼は構造的な課題にも直面しています。日本は調査対象28カ国中でも信頼水準が低い国の一つであり、企業への信頼は47%と、グローバル平均の64%を大きく下回っています。一方で、政府(37%)、NGO(35%)、メディア(33%)と比較すると、企業への信頼は国内では依然として相対的に高い状況にあります。また、日本では閉鎖的な信頼意識が深く根付いており、自分と異なる相手を「信頼しない」と回答した人が61%、「信頼をためらう」と回答した人が28%に上り、違いを超えて信頼できると考える人はわずか10%にとどまっています。

Trust in Companies

こうした状況の中で、信頼の向かう先にも変化が生じています。不安の拡大とともに、信頼はローカル化しています。世界的に企業に対する信頼は自国企業に偏る傾向が強まっており、日本では自国に本社を置く企業への信頼が外国企業を29ポイント上回っています。一方で、日本企業は海外においても高い信頼を獲得しており、今年は、外国企業への信頼度において日本が首位を獲得しました。

閉鎖性の進行は、すでに職場や経済成長にも影響を及ぼしています。日本では、31%の従業員が自分と異なる価値観を持つ上司のもとで働くよりも部署異動を選ぶと回答し、23%の従業員は自分と異なる政治的信条を持つリーダーのもとでは成果への貢献を控えるとしています。さらに、20%が物価上昇を伴う場合でも自国で事業展開する外国企業数を制限する政策を支持すると回答しています。

こうした状況を受け、「信頼の仲介(Trust Brokering)」が重要な解決策として浮上しています。信頼の仲介とは、異なる立場や価値観を持つ人々の間で共通理解を促し、信頼関係を構築するための取り組みを指します。人々を変えようとするのではなく、分断された当事者間の共通の利害を明らかにして、それぞれのニーズ、目標、置かれている状況を相互に理解できるように翻訳・橋渡しを行うことです。

International Trust Brokering

企業は、この信頼の仲介を担う上で中心的な役割を期待されています。社会的に分断が生じやすい課題に対しては、グローバルでは35%、日本では34%の人が、企業が信頼を得るうえで最も有効なのは、特定の立場を取るのではなく協働による解決を促すことが最も有効であると回答しています。また、「自分の会社(雇用主)」が最も信頼される存在であり、信頼構築の基盤となっています。

外国の企業が信頼を得るための具体的な行動としては、地域社会との関係構築が重要視されています。グローバルでは、長期的な地域プロジェクトへの投資(48%)、地域人材の採用(46%)、危機時の支援(38%)、地域団体への寄付(27%)などが信頼向上につながると認識されています。

さらに、企業だけでなくそのリーダーにも大きな役割が求められています。日本では、74%がCEOには分断を乗り越え信頼構築を促進する責任があると考える一方で、実際に十分に取り組めていると評価する人は46%にとどまり、28ポイントのギャップが存在しています。

エデルマンのCEOであるRichard Edelman(リチャード・エデルマン)は、次のように述べています。 「閉鎖性の進行に対抗するために、私たちは「信頼の仲介(トラスト・ブローカリング)」の重要性を提唱しています。これは、異なる考えを持つ人々をつなぎ、共通の理解を生み出す組織の力を指します。その中核を担うのが「自分の会社(雇用主)」です。多くの人々は解決策を求めており、それを実現できる場が職場です。本年の調査からは、3つのポイントが見えてきます。第一に、閉鎖性は外部の情報を遮断するという点で、信頼の低下が新たな段階に入ったことを示しています。第二に、信頼の仲介という解決策が存在すること。第三に、その変化を生み出す鍵を握るのが「自分の会社(雇用主)」であるということです。」

本調査結果は、企業や組織に対し、分断が進む社会において信頼の仲介者としての役割を果たす必要性を示しています。閉鎖性が進行する中で、違いを超えて相互理解を促進することが、持続的な成長と社会の安定に不可欠となっています。

「2026 エデルマン・トラスト・バロメーター」のその他の主な調査結果は以下の通りです。 

  • 閉鎖性と不満と憤りの関係:閉鎖的な信頼意識を持つ人は、そうでない人と比べて、不満と憤りを感じる割合がグローバルで16ポイント高いことが明らかになっています。 
  • 信頼格差が継続:高所得層と低所得層の間で、組織に対する信頼の認識に大きな乖離があり、低所得層ではすべての組織に対して能力・倫理の両面で低い評価が見られます。 
  • 異なる意見への接触機会の減少:異なる政治的見解の情報に一週間に一度以上触れる人はグローバルで39%、日本では20%にとどまり、情報環境の閉鎖化が進んでいます。 
  • 信頼の仲介における期待と現実のギャップ:グローバルおよび日本でも共通して、互いに不信感を抱く集団間の分断を埋め、信頼構築を促進することにおいて、すべての組織で期待と実行の差に大きな差が見られます。日本では、政府(−34ポイント)、メディア(−25ポイント)、NGO(−29ポイント)、企業(−28ポイント)と、いずれも大きな差が確認されています。 
  • 信頼の仲介の効果:信頼の仲介が適切に行われている場合、低所得層における信頼は向上し、所得による信頼格差の縮小につながる可能性が示されています。

「2026年エデルマントラストバロメーター グローバルおよび日本レポート」は、こちらからダウンロードできます。

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Edelman Japan株式会社